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スタートアップの成長フェーズとは?シードからレーターまで各段階の課題とやるべきことを徹底解説

「次に何をすれば会社はもっと成長するんだろう?」多くの起業家が、一度はこんな風に感じたことがあるのではないでしょうか。この記事では、そんなあなたのための「事業の成長地図」を示します。各フェーズの目標と課題を理解し、自社の現在地と進むべき道を明確にしましょう。

この記事で分かること

  • スタートアップの4つの成長フェーズ(シード・アーリー・ミドル・レーター)の全体像 
  • 各フェーズで達成すべき目標と、直面する具体的な課題(信用の壁、組織の壁など) 
  • 事業を成功に導くために、各段階で「やるべきこと」のチェックリスト 
  • 事業フェーズに応じた最適な資金調達ラウンドと調達額の目安

スタートアップの成長フェーズとは?事業の成長地図を理解しよう

スタートアップの道のりは、しばしば航海に例えられます。そして、自社が今どの成長フェーズにいるかを把握することは、その航海の現在地を示す「海図」を持つことに他なりません。この海図がなければ、進むべき航路や目の前の危険が分からなくなるように、事業の方向性を見失い、計画的な経営が困難になるでしょう。

一般的に、スタートアップは以下の4つのフェーズに分けられます。

  1. シード期: アイデアという「種(シード)」を蒔く時期
  2. アーリー期: 種から芽が出て、市場に根を張ろうとする時期
  3. ミドル期: 幹を太くし、枝葉を広げて急成長する時期
  4. レーター期: 大木となり、安定した収穫を目指す、あるいは新たな森を作る時期

これらのフェーズを理解することは、自社の状況を客観的に把握し、次の打ち手を的確に計画するために不可欠です。例えば、まだ小さな芽であるアーリー期に、大木になるミドル期と同じ戦略をとってもうまくいきません。フェーズに合った課題設定とアクションが、事業を成功に導く鍵となるのです。

各フェーズと資金調達ラウンドの関係

各成長フェーズは、投資家からの資金調達ラウンドと密接に関連しています。投資家は企業のフェーズを見て、投資の判断や金額を決定します。

成長フェーズ主な資金調達ラウンド調達額の目安
シード期エンジェルラウンド、プレシリーズA数百万円〜1億円
アーリー期シリーズA1億円〜5億円
ミドル期シリーズB、シリーズC5億円〜数十億円
レーター期シリーズD以降、IPO数十億円以上
  • エンジェルラウンド: 創業前後のアイデア段階の会社に〜個人投資家が出資するラウンドのことです。
  • プレシリーズA: 本格的な資金調達である「シリーズA」の”前(プレ)”に行われる準備的なラウンド。主に事業モデルの検証などを目的に、少額の資金を調達します。
  • シリーズA, B, C…: 事業が軌道に乗り始めた後、ベンチャーキャピタル(VC)などの機関投資家から受ける本格的な資金調達です。アルファベットがA→B→Cと進むにつれて、会社の成長フェーズが進み、事業が拡大していることを示します。

重要なのは、これが絶対的な基準ではないということです。事業内容や市況によって調達額は大きく変動します。しかし、自社が将来どのラウンドを目指すべきかを考える上で、この対応関係は非常に参考になるでしょう。

【フェーズ別解説】シード期:アイデアを形にする最初のステップ

シード期は、あなたの頭の中にあるアイデアという「種」を、具体的な事業の形にしていく最初の、そして最も創造的なフェーズです。

シード期の主な活動と目標

この時期の最大の目標は「本当に顧客の課題を解決できるのか?」を検証することです。

  • アイデアの具体化と事業計画の策定: 誰の、どんな課題を、どのように解決するのかを突き詰めて考え、ビジネスモデルを設計します。
  • MVP(Minimum Viable Product)の開発: 「最小限の価値を提供できる製品」を迅速に開発し、実際のユーザーに使ってもらうことで、アイデアの有効性を検証します。完璧を目指す必要はありません。
  • 初期顧客の獲得: 熱狂的なファンとなってくれる最初の顧客を見つけ、対話を重ねることが重要です。

シード期の課題と乗り越え方

シード期で最も多い課題は「信用の壁」と「リソース不足」です。実績がないため、顧客からも投資家からも信用を得にくいのが現実です。また、資金も人も限られています。

ここで有効なのが、コストを抑えつつ信頼性を高める工夫です。例えば、法人登記を行う際に、自宅住所ではなく、ビジネス街の一等地の住所が使えるバーチャルオフィスを利用すれば、取引先や金融機関からの信頼度を高められます。また、集中して作業する場所としてコワーキングスペースを活用すれば、固定費を抑えながら、他の起業家とのネットワーキングの機会も得られます。

【フェーズ別解説】アーリー期:PMF達成と事業の土台作り

アーリー期は、スタートアップが「死の谷」を越え、事業として離陸できるかを占う極めて重要なフェーズです。この時期の最大の目標は、PMF(プロダクトマーケットフィット)の達成に尽きます。

PMF(プロダクトマーケットフィット)とは?

PMFとは、「自社のプロダクトが、適切な市場(顧客)に受け入れられ、熱狂的に支持されている状態」を指します。これが達成できると、プロダクトは自然と売れ始め、事業は大きく成長する軌道に乗ります。

では、PMFを達成したかどうか、どう判断すればよいのでしょうか?一つの有名な指標として、「もしこのプロダクトが明日から使えなくなったら、あなたはどう感じますか?」という質問をユーザーに行い、「非常に残念」と答える人が40%以上いるか、というものがあります。※1

アーリー期の主要KPIと活動

PMFを達成するために、以下のKPIを追いかけることが一般的です。

  • 顧客獲得単価(CAC)と顧客生涯価値(LTV): LTVがCACを大きく上回る状態を目指します。
  • リテンションレート(顧客維持率): 顧客がプロダクトを継続して利用してくれているかを示します。
  • NPS(ネットプロモータースコア): 顧客のロイヤルティを測る指標です。

これらのKPIを計測し、顧客からのフィードバックを基に、高速でプロダクトの改善とマーケティング活動の最適化を繰り返すことが、アーリー期の主な活動となります。

チーム拡大とオフィスの役割

PMFの兆しが見え始めると、事業を加速させるために人材採用が始まります。従業員が5名、10名と増えてくると、新たな課題が生まれます。それは「チームの一体感の醸成」と「セキュリティの確保」です。

コワーキングスペースでは手狭になり、情報管理の面でも不安が出てきます。この段階では、チームだけの専用空間であるレンタルオフィスが最適な選択肢となります。チーム全員が顔を合わせ、密にコミュニケーションを取れる環境が、PMF達成に向けた最後のひと押しを強力にサポートしてくれるでしょう。

【フェーズ別解説】ミドル期:事業拡大(スケール)への挑戦

アーリー期でPMFを達成し、事業の土台が固まったら、いよいよミドル期です。本格的に事業を急拡大(スケール)させるフェーズに入ります。

ミドル期の主な活動と目標

このフェーズの目標は、「市場シェアの獲得」と「収益の安定化」です。

  • 本格的なマーケティング・営業活動: 多額の資金を投下し、テレビCMや大規模なWeb広告など、マス向けのアプローチで一気に顧客獲得を目指します。
  • 採用の加速と組織化: 営業、マーケティング、開発、コーポレートなど、各部門の専門人材を大量に採用し、組織を階層化していきます。
  • 黒字化への道筋: 売上は急増しますが、投資もかさむため、赤字が続くことも珍しくありません。しかし、ユニットエコノミクス(顧客一人当たりの経済性)を確立し、黒字化への明確な道筋を投資家に示す必要があります。

ミドル期の課題:「組織の壁」

ミドル期で多くの企業が直面するのが「組織の壁」です。特に「30人の壁」「50人の壁」と言われるように、従業員数が増えることで、これまでのやり方が通用しなくなります。

  • コミュニケーションの希薄化: 経営陣の想いが現場に伝わりにくくなる。
  • 生産性の低下: 部署間の連携がうまくいかず、意思決定が遅くなる。
  • 企業文化の崩壊: 創業以来の価値観が、新しく入ったメンバーに共有されず、組織がバラバラになる。

この課題を乗り越えるためには、ミドルマネジメントの育成と、情報共有の仕組み化が不可欠です。そして、事業拡大に伴う人員増加に柔軟に対応できる拡張性の高いオフィス環境も重要になります。また、採用活動や外部パートナーとの連携、社内イベントなども増えるため、必要な時にすぐに使える貸会議室やイベントスペースが併設されていると、ビジネスの機動力が向上します。

【フェーズ別解説】レーター期:安定成長と新たな展開

レーター期は、スタートアップとしての冒険が終わりを迎え、社会的な公器としての新たなステージに進む時期です。経営は安定し、市場での地位も確立されています。

レーター期の目標:EXIT戦略の実行

このフェーズの最大の目標は、創業者や投資家が利益を確定させる「EXIT(イグジット)」の実現です。

  • IPO(新規株式公開): 証券取引所に株式を上場し、誰でも株を売買できるようにすること。社会的な信用は大きく高まりますが、厳しい審査と上場後の説明責任が求められます。
  • M&A(合併・買収): 他の企業に自社を売却すること。大手企業の傘下に入ることで、より大きなリソースを活用して事業を成長させることができます。

近年では、IPOとM&Aの両方を視野に入れながら準備を進める「デュアルトラック」という手法も増えています。

レーター期のその先へ

EXITはゴールであると同時に、新たなスタートでもあります。上場企業として持続的な成長を目指したり、M&Aによってグループ内でのシナジーを追求したりと、挑戦は続きます。

  • 新規事業開発: 既存事業で得た収益やデータを基に、新たな市場へ進出します。
  • 海外展開: 日本国内で確立したビジネスモデルを、海外市場に展開します。
  • 組織のさらなる進化: 数百人、数千人規模の組織を効率的に運営するための、より高度な経営管理体制が求められます。

この段階になると、本社機能の拡張移転だけでなく、全国の主要都市への拠点展開や、新規事業のためのサテライトオフィスなど、オフィスのニーズもさらに多様化・複雑化します。信頼できるパートナーに、自社の成長戦略に合わせた不動産戦略を相談することが重要になるでしょう。

まとめ

スタートアップの成長フェーズという「地図」を理解することで、自社の現在地と進むべき道筋が見えてきたのではないでしょうか。各フェーズの課題を乗り越え、事業を成長させるためには、その段階に合った環境を選ぶことが極めて重要です。あなたの事業を加速させるオフィス環境を、一度その目で確かめてみませんか?

参照・引用元一覧

  1. 【日本語解説】PMF(プロダクトマーケットフィット)とは?意味や計測方法、事例などを解説 – One Capital
    https://digitalidentity.co.jp/blog/marketing/about-pmf.html