サテライトオフィスのメリットとは?企業と従業員にもたらす効果を解説

「コストを抑えつつ、優秀な人材を確保したい」「従業員の満足度を上げて生産性を向上させたい」。多くの経営者や人事担当者が抱えるこの課題に、サテライトオフィスが有効な一手となり得ます。働き方が多様化する今、なぜ注目されるのか?本記事では企業と従業員双方のメリットを深掘りし、導入成功の鍵を探ります。
この記事で分かること
- サテライトオフィスの基本的な定義と、自社に合った3つの種類
- 【企業側】コスト削減や人材確保に繋がる5つの経営メリット
- 【従業員側】ワークライフバランスを向上させる3つのメリット
- 導入前に知るべきデメリットと、明日から使える具体的な対策
- 導入コストを抑える助成金・補助金の活用法
Contents
そもそもサテライトオフィスとは?

サテライトオフィスとは、企業の本社や主要な拠点から離れた場所に設置された小規模なオフィスのことを指します。英語の「Satellite(衛星)」が語源で、本社を中心に衛星のように配置されるイメージです。
在宅勤務と支社・支店の中間的な存在と捉えると、その特徴を理解しやすくなります。自宅では集中しづらいけれど、本社まで通勤するのは非効率。そんな従業員のために、自宅近くの通勤しやすい場所に作業環境を提供するのが主な目的です。
テレワーク、支社との違い
- テレワーク(在宅勤務)との違い: テレワークが自宅を就業場所とするのに対し、サテライトオフィスは企業が用意した「オフィス環境」である点が大きな違いです。通信環境やセキュリティが担保された、仕事に集中できる空間を提供します。
- 支社・支店との違い: 支社や支店が、特定の地域での営業や事業活動を目的として恒常的に人員が配置されるのに対し、サテライトオフィスは、様々な部署の従業員が共有で利用することを前提としています。必ずしも特定の事業機能を持つわけではありません。
サテライトオフィスの3つの種類
サテライトオフィスは、その立地によって大きく3つのタイプに分けられます。自社の目的に合わせて最適なタイプを選ぶことが重要です。
- 都市型サテライトオフィス: 本社と同じ都市部の、主要駅周辺などに設置されます。営業担当者が外出先からの帰社時間を節約したり、複数のクライアントとの打ち合わせの合間に作業したりする拠点として活用されます。
- 郊外型サテライトオフィス: ベッドタウンとなる郊外の駅周辺などに設置されます。従業員の通勤時間短縮と負担軽減が主な目的で、ワークライフバランス向上に直結します。
- 地方型サテライトオフィス: 地方都市に拠点を構えるタイプです。Uターン・Iターン採用の促進や、地方の優秀な人材の確保、さらにはBCP(事業継続計画)対策としても注目されています。
【企業側】サテライトオフィス導入がもたらす5つの経営メリット

それでは、具体的に企業側にはどのようなメリットがあるのでしょうか。経営課題と直結する5つのポイントを解説します。
メリット1:コスト削減
企業にとって、コスト削減は分かりやすいメリットの一つです。
- オフィス賃料の最適化: 都心の一等地に大規模なオフィスを構える必要性が低下します。本社機能をスリム化し、必要な分だけサテライトオフィスを配置することで、高額な賃料を大幅に削減できる可能性があります。
- 交通費・出張費の削減: 従業員の通勤交通費はもちろん、拠点間の移動や遠隔地からの出張が減ることで、関連経費も抑えられます。
メリット2:優秀な人材の確保と定着
採用競争が激化する現代において、働き方の柔軟性は企業の大きな魅力となります。
- 採用エリアの拡大: これまで「本社に通える範囲」に限定されていた採用ターゲットが、サテライトオフィスの設置により全国に広がります。地方在住の優秀なエンジニアや、専門スキルを持つ人材にアプローチしやすくなります。
- 離職率の低下: 育児や介護といったライフイベントは、優秀な社員の離職理由になりがちです。しかし、自宅近くで働ける環境があれば、「仕事を辞める」という選択肢ではなく、「働き方を変えて仕事を続ける」という選択が可能になります。これは、企業にとって貴重な人材の流出を防ぐことに繋がります。
メリット3:生産性の向上
「通勤」は、多くの従業員にとって大きなストレス源です。往復2時間の通勤時間がなくなれば、その時間を自己投資や家族との時間に充てられ、心身ともにリフレッシュした状態で仕事に臨めます。 また、「やらされ感」のある働き方ではなく、自分で働く場所を選ぶという自律性が、仕事へのエンゲージメントを高め、結果として生産性向上に繋がるという研究結果もあります。※1静かで集中できる環境を選ぶことで、創造的な仕事の質が向上することも期待できるでしょう。
メリット4:事業継続計画(BCP)対策
2011年の東日本大震災や近年のパンデミックを経て、BCP対策の重要性が、より一層高まりました。本社一極集中型の事業体制は、災害時に機能不全に陥るリスクを抱えています。 実際に、災害時に本社が被災しても、地方のサテライトオフィスで事業を継続できた事例が報告されています。※2拠点を物理的に分散させることは、予期せぬ事態が発生した際に事業の灯を消さないための、極めて有効な保険となるのです。
メリット5:企業イメージ・ブランディング向上
「従業員の働きやすさを大切にしている」「先進的な取り組みを実践している」という事実は、強力な企業ブランドとなります。 特に若い世代は、給与や待遇だけでなく、企業の価値観や働き方の柔軟性を重視する傾向にあります。サテライトオフィスの導入は、そうした求職者に対する強力なアピールとなり、採用活動を有利に進める効果も期待できます。
こうしたメリットを実現する具体的な方法として、企業は自社の状況に合わせてオフィス戦略を柔軟に組み立てることが可能です。
例えば、都心の本社規模を縮小し、代わりにコストを抑えたレンタルオフィスを郊外に契約する方法や、社員が必要な時にだけ使えるコワーキングスペースの利用制度を福利厚生として導入する方法などが考えられます。
【従業員側】働きやすさを実現する3つのメリット

企業側のメリットは、従業員の働きやすさ向上と表裏一体の関係にあります。従業員にとっては、どのような良いことがあるのでしょうか。
メリット1:通勤時間の削減とストレス軽減
最も直接的で大きなメリットは、通勤からの解放です。特に首都圏では、片道1時間以上の通勤も珍しくありません。 毎朝の満員電車で体力を消耗することなく、始業時間まで心穏やかに過ごせる。この変化がもたらす精神的な余裕は計り知れません。創出された時間を、睡眠、趣味、家族との対話などに使うことで、生活全体の質が向上します。
メリット2:ワークライフバランスの向上
「仕事と生活の調和」は、現代を生きる私たちにとって永遠のテーマかもしれません。サテライトオフィスは、その実現を力強く後押しします。 例えば、仕事の合間に子供の送り迎えをしたり、終業後すぐに地域の活動に参加したりすることが可能になります。仕事のためにプライベートを犠牲にするのではなく、どちらも大切にできる働き方は、仕事への満足度や幸福度を大きく高めてくれるでしょう。
メリット3:集中できる作業環境の確保
在宅勤務が普及しましたが、「自宅ではどうしても集中できない」という声も少なくありません。家族の存在や生活空間が気になったり、十分な執務スペースが確保できなかったり。 そんな時、自宅近くに静かで快適な「第三の場所(サードプレイス)」があることは、大きな安心材料になります。その日の業務内容や気分に合わせて、自宅とサテライトオフィスを使い分けることで、常に最適な環境でパフォーマンスを発揮できます。
導入前に確認!デメリットと具体的な対策

もちろん、サテライトオフィスは万能薬ではありません。導入を成功させるためには、事前にデメリットを理解し、対策を講じておくことが不可欠です。
デメリット1:コミュニケーションの希薄化
物理的に離れることで、偶発的な会話や雑談から生まれるアイデア、チームの一体感が失われがちになるのは事実です。
- 対策: この課題に対しては、意識的な仕組みづくりが有効です。
- ツールの活用: ビジネスチャットツールに雑談専用のチャンネルを作る。
- 定例会の実施: 週に一度はチーム全員が顔を合わせるオンラインミーティングを設定する。
- 対面の機会: 月に一度は本社に集まる「オフィスデー」を設けるなど、オンラインとオフラインを組み合わせたコミュニケーション戦略が鍵となります。
デメリット2:勤怠管理・人事評価の難しさ
「見えない場所で、本当にちゃんと働いているのだろうか?」管理職がそうした不安を抱くのは自然なことです。また、プロセスが見えにくくなることで、公平な評価が難しくなるという課題もあります。
- 対策:
- 勤怠管理: クラウド型の勤怠管理システムを導入し、PCのログオン・ログオフ時間で客観的な労働時間を把握する。
- 人事評価: 「何時間働いたか」ではなく、「どのような成果を出したか」を評価する、成果主義の評価制度への移行を検討することが本質的な解決策となります。
デメリット3:セキュリティリスク
本社から離れた場所で業務を行うことは、情報漏洩のリスクを高める可能性があります。特に共用型のサテライトオフィスでは、第三者によるPC画面の覗き見や、公共Wi-Fi利用時の通信傍受などのリスクが懸念されます。
- 対策:
- 物理的対策: PCから離れる際は必ず画面をロックする、覗き見防止フィルターを利用する。
- 技術的対策: VPN(仮想プライベートネットワーク)接続を義務付け、通信を暗号化する。
- ルールと教育: セキュリティポリシーを明確に定め、全従業員への定期的な研修を実施することが不可欠です。
こうした対策を実践する上で、必ずしもすべての機能を自社で抱え込む必要はありません。
例えば、コミュニケーション課題の対策として挙げた「定期的な対面ミーティング」を行う際には、必要な時間だけ安全な貸会議室・イベントスペースを利用すれば、コストを抑えつつセキュリティも担保できます。
賢く導入!活用できる助成金・補助金制度

サテライトオフィスの導入やテレワーク環境の整備には、国や地方自治体の助成金・補助金を活用できる場合があります。これらを活用することで、初期投資を大幅に抑えることが可能です。
代表的な制度として、厚生労働省の「働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)」があります。
| 項目 | 概要 |
| 目的 | 時間外労働の削減や年次有給休暇の取得促進に向けた、テレワーク導入に取り組む中小企業事業主を支援する。 |
| 対象経費 | テレワーク用通信機器(PC、タブレット等)の導入・運用、就業規則の作成・変更、労務管理担当者や労働者に対する研修など。 |
| 支給額 | 対象経費の合計額に補助率をかけた額(上限あり)。成果目標の達成状況に応じて変動します。 |
この他にも、各都道府県や市区町村が独自の支援制度を設けている場合があります。「自社所在地 + テレワーク 助成金」などで検索し、活用できる制度がないか確認してみましょう。
制度の詳細は変更される可能性があるため、必ず公式ウェブサイトで最新の情報をご確認ください。※3
まとめ
サテライトオフィスは、コスト削減や人材確保といった経営課題に応えつつ、従業員のワークライフバランスを向上させるWin-Winの選択肢です。デメリットも存在しますが、適切なツール導入や制度設計で克服可能です。自社の未来を拓く一手として、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
参照・引用元一覧
- 「テレワーカーにおける業績向上要因に関する一研究」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjasmin/12/4/12_69/_article/-char/ja/ - BCP(事業継続)対策のテレワーク・事例 – 一般社団法人日本テレワーク協会 – https://japan-telework.or.jp/tw_about/bcp/ – 災害時などにおけるテレワークやサテライトオフィスの有効性を示す具体事例を掲載。
- 働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/telework_10026.html
