リモートワークのデメリットとは?対策の優先順位と第3の選択肢

リモートワークが導入されたものの、「コミュニケーションが希薄になった」など新たな課題に直面していませんか?従業員側も孤独感や評価への不安を感じ、静かにエンゲージメントが低下しているかもしれません。 この記事では、企業と従業員、双方の視点からリモートワークのデメリットを多角的に分析し、実践しやすい対策の優先順位と、コストを抑えつつ柔軟な働き方を実現する「第3の選択肢」まで、幅広く解説します。
この記事で分かること
- 企業と従業員、双方の視点から見たリモートワークの主なデメリット
- 「緊急度・重要度」で分かる、優先度の高い課題解決アクション
- 各対策のメリットだけでなく、導入時の注意点
- オフィス賃料を変動費化し、ハイブリッドワークを成功に導く「第3の選択肢」
Contents
まずは全体像を把握:リモートワークの代表的なデメリット一覧

まずは企業と従業員、それぞれの立場でどのような課題があるのか、全体像を掴みましょう。
| 対象 | デメリット |
| 企業側 | 1. コミュニケーション不足による連携ミスと一体感の喪失 ・チームに一体感が感じられない(32.0%) |
| 2. 勤怠・労務管理の形骸化と「隠れ残業」 ・部下の労働時間の管理が難しくなった(32.0%) ・部下の仕事の様子がわからなくなった(34.8%) | |
| 3. セキュリティリスクの増大と情報漏洩の脅威 | |
| 4. 従業員のエンゲージメント・生産性の低下 | |
| 5. 新人・若手社員の育成機会の減少 ・業務上の指示ややりとりに支障がある(31.0%) | |
| 従業員側 | 1. 孤独感とコミュニケーション不足によるメンタル不調 ・非対面のやりとりで相手の気持ちがわかりにくい(42.7%) |
| 2. 仕事とプライベートの境界線の曖昧化 ・仕事に集中できない(33.9%) | |
| 3. 正当に評価されているかというキャリアパスへの不安 ・上司から公平・公正に評価してもらえるか不安 (31.4%) | |
| 4. 作業環境の格差と見えないコスト負担 ・作業環境が整っていない(プリンターがない 39.1%、机や椅子がない 38.1%) |
※表内の(%)は、パーソル総合研究所「第八回・テレワークに関する調査」※1を参照。
企業編:リモートワークが組織にもたらす5つの経営課

リモートワークの導入は、これまでオフィスという物理的な空間が自然に解決していた課題を顕在化させました。経営者や人事・総務担当者が特に直面しやすい、組織運営上の5つのデメリットを解説します。
課題1:雑談が消え、組織の一体感を損なう「コミュニケーション問題」
リモートワークに関する困りごとではの32.0%が「チームに一体感が感じられない」が最多であり、組織の一体感の醸成が大きな課題となっています。※1オフィスでの何気ない会話から生まれるアイデアや、表情から相手の状況を察するといった非言語的な情報が失われ、部門間の連携ミスや組織の一体感喪失に繋がります。
課題2:見えない従業員の「働きぶり」。勤怠・労務管理の形骸化
従業員の働く姿が直接見えないことは、管理職にとって大きな課題です。同調査※1では、管理職の34.8%が「部下の仕事の様子がわからなくなった」、32.0%が「部下の労働時間の管理が難しくなった」と回答しています。自己申告制の勤怠管理は形骸化しやすく、長時間労働や「隠れ残業」を見過ごす可能性を高めます。これは労働基準法違反のリスクだけでなく、従業員の健康を損なう原因ともなり、企業の安全配慮義務が問われかねません。
課題3:セキュリティリスクの増大と情報漏洩の脅威
従業員が自宅やカフェなど、セキュリティレベルの低い環境で業務を行う機会が増え、情報漏洩リスクは格段に高まります。IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2023」※2では、「内部不正」や「不注意による漏洩」が組織の大きな脅威に。私物端末の利用(BYOD)や公衆Wi-Fiへの接続など、管理者の目が届かない場所でのリスク管理は非常に困難です。
課題4:従業員のエンゲージメント・生産性の低下
コミュニケーション不足や孤独感は、従業員のエンゲージメント(仕事への熱意や貢献意欲)を低下させる一因です。エンゲージメントの低下は、自発的な行動の減少や離職率の増加につながる一因となります。また、自宅の作業環境が整っていない、家族がいて集中できないといった理由で、かえって生産性が落ちてしまうケースも少なくありません。
課題5:新人・若手社員の育成機会の減少
オフィスにいれば、先輩の電話応対や顧客とのやり取りを「見て学ぶ」機会が豊富にありました。リモートワークではOJTが機能しにくく、新人や若手社員が業務スキルや企業文化を習得するスピードが遅くなる傾向があります。気軽に質問できる相手がそばにいないため、成長実感を得られずに早期離職に至るケースも懸念されます。
従業員編:働く個人が直面する4つの隠れたデメリット

リモートワークは「自由な働き方」というイメージの裏で、多くの人が新たな悩みを抱えています。これらの個人的な課題は、やがて組織全体の問題へと発展します。
課題1:孤独感とコミュニケーション不足によるメンタル不調
雑談やランチといった同僚との交流がなくなることで、社会的な孤立感を深める従業員は少なくありません。厚生労働省の「令和2年度テレワークの労務管理等に関する総合的実態調査」※3でも、テレワークの課題として「社内での気軽な相談・報告が困難」と回答した労働者の割合は高い水準にあります。この孤独感がストレスとなり、メンタルヘルスの不調につながるケースは、企業にとって見過ごせないリスクです。
課題2:仕事とプライベートの境界線が曖昧に
自宅が職場になることで、仕事とプライベートの境界が曖昧になりがちです。就業時間後もついメールをチェックしてしまうなど、心身が休まらない状態が続けば、燃え尽き症候群(バーンアウト)の原因にもなり得ます。
課題3:正当に評価されているか?キャリアパスへの不安
自分の仕事ぶりや成果が上司に伝わりにくくなるため、「正当に評価されていないのでは」という不安を抱きやすくなります。実際に、パーソル総合研究所の調査※1では、テレワーク従業員の31.4%が「上司から公平・公正に評価してもらえるか不安だ」と感じています。特に、成果が数値化しにくい業務ではその傾向が顕著です。自身のキャリアパスが見えにくくなることで、転職を考えるきっかけにもなります。
課題4:作業環境の格差と見えないコスト負担
快適なワークチェアや高速なネット回線など、生産性の高い作業環境を全員が自宅に整えられているわけではありません。同調査※1によれば、「プリンターなどの必要機器がない」(39.1%)、「仕事に適した机や椅子がない」(38.1%)といった環境不備が上位の困りごととなっています。家族の生活音や狭いスペースで集中力が削がれることも。また、光熱費や通信費の増加も、従業員にとっては切実な負担です。
デメリットを解消する具体的対策

これまで見てきたデメリットに対し、何から手をつけるべきか。多くの企業が陥りがちな失敗例と合わせて、優先度順に解説します。
コミュニケーション基盤の再構築
意図的にコミュニケーション機会を創出することが最優先です。
- 具体的アクション: ビジネスチャット、Web会議システム、仮想オフィスツールといったツールを目的に応じて導入し、「会議の冒頭5分は雑談タイム」「雑談専用チャンネルの開設」といったルールを設けます。
- よくある失敗: ツールを導入しただけで、利用が活性化しない。
- 成功のポイント: 経営層や管理職が率先して雑談したり、オンライン懇親会や部活動を企画したりと、「心理的安全性」の高い文化を醸成することが鍵です。
人事評価・労務管理の最適化
公平性と透明性のある制度が、従業員の不安の払拭につながります。
- 具体的アクション: PCログと連動するクラウド型勤怠管理システムを導入し、客観的な労働時間を把握します。同時に、時間ではなく成果で評価する「ジョブ型」の要素を取り入れた評価制度に見直します。
- よくある失敗: 労働時間の管理のみに終始し、従業員の「評価されていない」という不満が解消されない。
- 成功のポイント: 定期的な1on1ミーティングで業務成果だけでなく、プロセスや貢献意欲も確認し、評価への納得感を高めることが重要です。
セキュリティ体制の強化
リモートワークの拡大は、新たなセキュリティリスクを生みます。
- 具体的アクション: 私物端末の利用範囲や公衆Wi-Fi利用時のルールを明確にしたガイドラインを策定・周知します。社内システムへのアクセスはVPN(仮想プライベートネットワーク)経由に限定し、通信を暗号化します。
- よくある失敗: ルールを策定しただけで、従業員のリテラシー任せになっている。
- 成功のポイント: 定期的な研修の実施と、技術的な対策(VPN、デバイス管理ツールなど)を組み合わせることで、ヒューマンエラーと悪意ある攻撃の両方に備えます。
定着を支援する環境・制度の整備
従業員のセルフマネジメントを支援し、働きやすさを向上させます。
- 具体的アクション: 光熱費や通信費を補助するリモートワーク手当(月額5,000円〜10,000円程度)を支給します。また、時間管理術や効果的なコミュニケーションに関するセルフマネジメント研修を実施します。
- よくある失敗: 手当を支給しただけで、生産性やエンゲージメントの向上に繋がらない。
- 成功のポイント: 研修と組み合わせ、従業員一人ひとりが自律的に働けるスキルを身につける支援を行うことが、長期的な生産性向上に繋がります。
「オフィスか在宅か」の二元論を超える第3の選択肢

リモートワークのデメリット解消は一定効果が期待できますが、「物理的な孤独感」や「集中できる環境の欠如」を完全に解決するのは難しいかもしれません。その根本原因は、「オフィス勤務か、在宅勤務か」という二者択一の考え方自体にあるのかもしれません。
なぜ「フレキシブルオフィス」が根本解決になるのか
この二元論を乗り越える「第3の選択肢」、それがフレキシブルオフィスです。必要な時に必要なだけ利用できるレンタルオフィスやコワーキングスペースは、リモートワークのデメリットを補い、メリットを最大化するハイブリッドな働き方を実現します。
賃貸オフィス・フルリモートとの違い
従来の賃貸オフィスが「高額な固定費」と「長期契約」を前提とするのに対し、フレキシブルオフィスは「変動費化できるコスト」と「柔軟な契約」が最大の特徴です。これにより、企業は事業フェーズに合わせて迅速かつ低リスクにオフィス戦略を最適化できます。
関連記事:フレキシブルオフィスについて種類・料金・選び方を解説
fabbitのフレキシブルオフィス活用法

具体的にどう使えば自社の課題を解決できるのか。よくあるお悩み別にfabbitの活用法を4つのケースでご紹介します。
Case1:「チームの一体感」と「個人の集中」を両立したい
→「レンタルオフィス」をサテライト拠点に
「普段はリモート中心だが、チームで集まる場所も欲しい」というニーズには、主要駅近くのレンタルオフィスが適しています。従業員は自宅とオフィスを自由に選択でき、企業はチームの一体感を醸成する場所を確保できます。
Case2:全従業員に公平な「働く場所の選択肢」を提供したい
→「コワーキングスペース」の法人契約
「全従業員に公平なリモートワーク環境を提供したい」という場合は、全国に拠点を持つコワーキングスペースとの法人契約がおすすめです。従業員は自宅最寄りや出張先の拠点を自由に利用でき、先進的な働き方である「ABW(Activity Based Working)」を実現できます。
関連記事:ABWについて徹底解説|フリーアドレスとの違いから導入メリット、成功のポイントまで
Case3:プロジェクトや会議など「必要な時だけ」集まりたい
→「貸会議室・イベントスペース」の活用
「四半期ごとの全社会議や、短期プロジェクトで集まる場所が必要」というニーズには、時間単位で借りられる貸会議室が適しています。プロジェクター等が完備された環境を必要な時間だけ利用し、コストを最小限に抑えられます。
Case4:事業の信頼性を「低コスト」で担保したい
→「バーチャルオフィス」で法人登記
「起業したばかりでオフィスは不要だが、自宅住所を法人登記に使うのは不安」というスタートアップ経営者には、バーチャルオフィスが適しています。都心一等地の住所で信頼性を高められます。
まとめ:自社に最適な働き方をデザインするために
リモートワークのデメリットは多岐にわたりますが、その多くは優先順位を付けて対策することで乗り越えられます。完璧な制度は存在しません。大切なのは、自社の状況に合わせて改善し続けることです。
まずは、最も多くの課題の根源となる「コミュニケーション基盤の再構築」から着手してみてはいかがでしょうか。
それでも解決が難しい根深い課題には、従来の「オフィス」と「在宅」の枠を超えた「フレキシブルオフィス」の活用が、コストを抑えながら従業員の満足度と生産性を高める鍵となります。自社に最適な働き方をデザインするために、まずは専門家への相談や実際のオフィスを見学することから始めてみましょう。
参照・引用元一覧
- パーソル総合研究所「第八回・テレワークに関する調査/就業時マスク調査」 –
https://rc.persol-group.co.jp/assets/individual/thinktank/assets/telework-survey8.pdf - IPA「情報セキュリティ10大脅威 2023」 –
https://www.ipa.go.jp/security/10threats/10threats2023.html - 厚生労働省「令和2年度テレワークの労務管理等に関する総合的実態調査(労働者調査)」 –
https://www.mhlw.go.jp/content/11911500/000782363.pdf
