COLUMNコラム

スタートアップとベンチャーの違いとは?【徹底比較】起業・会社設立前に知っておきたい基本を解説

「スタートアップ」と「ベンチャー」の最も大きな違いは、スタートアップが革新性で短期急成長を目指すのに対し、ベンチャーは新規性で中長期の成長を目指す点です。この記事では、ビジネスモデルや成長戦略といった3つの具体的な違いを、分かりやすく解説していきます。

この記事で分かること

  • 「スタートアップ」と「ベンチャー」の明確な定義と関係性
  • ビジネスモデル、成長速度、出口戦略という3つの決定的違い
  • あなたの事業やキャリアがどちらに近いかの判断基準
  • 両者の違いが一目で分かる

まずは基本から!「ベンチャー企業」と「スタートアップ」の定義

ビジネスの世界で頻繁に耳にする「ベンチャー企業」と「スタートアップ」。この二つの言葉は混同されがちですが、その本質は異なります。まずはそれぞれの定義と関係性を正しく理解することから始めましょう。

ベンチャー企業とは?

「ベンチャー企業」とは、既存のビジネスモデルを基盤としながら、新しい技術やサービスを展開する企業を指す、比較的広い概念です。英語の “Venture”(冒険、投機的事業)が語源であり、大企業ではリスクが高くて着手しづらい、新規性の高い事業に挑戦する中小企業全般を指す和製英語として定着しました。

重要なのは、必ずしも「革新的なイノベーション」だけを追求するわけではない点です。例えば、微細藻類ユーグレナ(ミドリムシ)を活用する株式会社ユーグレナは、そのユニークな技術を基に食品や化粧品といった「既存の市場」で新しい価値を持つ商品を提供し、着実に成長を遂げました。このように、既存市場の中で独自の価値を提供し、着実な事業成長を目指す企業がこれにあたります。

スタートアップとは?

一方、「スタートアップ」は、全く新しい、革新的なビジネスモデルを構築し、社会に大きな変革をもたらすことで、短期間での急成長を目指す企業を指します。※1もともとはシリコンバレーで使われ始めた言葉で、「何もない状態から立ち上げる」という意味合いが強く、特にテクノロジーを駆使したイノベーションを志向する企業を指すことが多いです。

例えば、フリマアプリの株式会社メルカリは、それまで一般的でなかった個人間取引の市場を新たに創造しました。また、クラウド人事労務ソフトの株式会社SmartHRは、従来は紙媒体が主流だった労務手続きの電子化を推進し、業務のあり方に変革をもたらしました。 このように、スタートアップは、まだ顕在化していない市場やニーズを掘り起こし、新しいプロダクトやサービスで市場を創造することを目指します。そのため、事業はハイリスク・ハイリターンになる傾向があります。

関連記事 : スタートアップのオフィス戦略ガイド【長フェーズ別】最適な選び方と費用相場を解説

「ベンチャー」と「スタートアップ」の関係性

ここまでの説明で、両者の関係性が見えてきたのではないでしょうか。 結論から言うと、「スタートアップ」は「ベンチャー企業」という大きな括りの中に含まれる、特に革新性と急成長を志向する一部の企業と位置付けられます。

イメージとしては、以下のような包含関係になります。

【ベンチャー企業(新規事業に挑戦する企業全般)】

  ├─ 既存市場で新しい価値を提供する企業

  ├─ 特定の技術で着実な成長を目指す企業

  └─【スタートアップ(革新的なモデルで急成長を目指す企業)】

すべてのスタートアップはベンチャー精神を持っていますが、すべてのベンチャー企業がスタートアップの定義に当てはまるわけではない、と覚えておくと良いでしょう。

スモールビジネスとの違い

ベンチャーやスタートアップとしばしば混同されるもう一つの形態が「スモールビジネス」です。この違いも理解しておくと、ご自身の目指す方向性がより明確になります。

スモールビジネスとは、主に地域社会に根ざし、生活に密着したサービスを提供することで、安定的かつ長期的な収益を確保することを目的とする事業を指します。代表的な例が、地域に根差したパン屋さん、個人経営のカフェ、美容院などです。

最大の違いは「事業の拡大・成長に対する考え方」にあります。

  • スモールビジネス
    急成長や事業売却(イグジット)を前提とせず、事業主自身の生活や地域への貢献を重視し、身の丈にあった規模で事業を継続することを目指します。
  • ベンチャー/スタートアップ
    新規事業への挑戦を前提とし、事業を大きく成長させること(スケール)を目的とします。特にスタートアップは、IPOやM&Aによるイグジットが明確なゴールとなります。

この3者の関係性をまとめると、以下のようになります。

比較軸スモールビジネスベンチャー企業スタートアップ
主目的安定収益・事業継続事業成長・シェア拡大急成長・市場創造
成長志向維持・緩やかな成長中長期的な成長短期的な指数関数的成長
イノベーション必須ではない持続的イノベーション破壊的イノベーション
ゴール事業継続・承継多様なゴールIPO / M&A
代表例地域のパン屋、カフェ独自技術のメーカーメルカリ、SmartHR

ご自身の事業構想が、どのモデルに最も近いかを考えることが、最初の一歩として非常に重要です。

【比較表】スタートアップとベンチャーの3つの違い

定義の違いを理解したところで、さらに解像度を上げるために、より具体的な3つの軸で両者の違いを比較してみましょう。この違いを理解することは、起業やキャリア選択におけるミスマッチを減らす一助となります。

違い①:ビジネスモデル(イノベーションの方向性)

本質的な違いの一つは、イノベーションをどの方向に向けるかにあります。

  • スタートアップ:0→1の破壊的イノベーション
    スタートアップが目指すのは、市場のルールを根底から変えるような「破壊的イノベーション」です。これまで存在しなかった価値を創造し、新しい市場そのものを作り出すことを目指します。例えるなら、「誰もやったことのない新しいスポーツを発明し、そのルールを作る」ようなものです。そのため、前例がなく、成功の確証もない、極めて不確実性の高い挑戦となります。
  • ベンチャー企業:1→10の持続的イノベーション
    一方、ベンチャー企業は、既存の市場やビジネスモデルを前提とした「持続的イノベーション」を得意とします。既存の製品やサービスをより良く改善したり、新しい技術を応用して効率化したりすることで、市場内での競争優位性を築きます。これは、「既存のスポーツで新しい戦術やトレーニング方法を編み出し、トッププレイヤーを目指す」ことに似ています。

違い②:成長戦略(スピードと曲線)

目指すイノベーションの方向性が異なれば、当然、企業の成長戦略やスピード感も大きく変わってきます。

  • スタートアップ:短期的な急成長(Jカーブ)
    スタートアップは、短期間(一般的に3〜5年)での指数関数的な急成長を目指します。事業初期は、プロダクト開発や市場開拓に多額の先行投資を行うため、赤字が続く「死の谷(デスバレー)」と呼ばれる期間があります。しかし、プロダクトが市場に受け入れられた(PMF:プロダクトマーケットフィットを達成した)に達すると、成長曲線が急上昇する「Jカーブ」を描くのが特徴です。投資家からも、この急角度の成長が強く期待されます。
  • ベンチャー企業:中長期的な安定成長(右肩上がり)
    ベンチャー企業は、短期的な急成長よりも、中長期的に黒字化し、安定した事業基盤を築くことを重視します。もちろん成長を目指しますが、そのスピードは比較的緩やかで、着実な右肩上がりの成長曲線を描くことが一般的です。地に足のついた事業計画で、堅実に利益を積み上げていくことを目指します。

違い③:出口戦略(イグジット)

企業の最終的なゴールである「出口戦略(イグジット)」にも、明確な違いが見られます。これは特に、資金調達の方法と密接に関連しています。

  • スタートアップ:IPOまたはM&Aによる短期的な利益確定
    スタートアップは、ベンチャーキャピタル(VC)などから多額の資金調達を行うことが一般的です。出資者である投資家は、投資資金の回収と大きなリターン(キャピタルゲイン)を求めるため、スタートアップには明確なイグジットが求められます。その主な手段が、株式市場への上場(IPO)か、大企業への事業売却(M&A)です。これにより、創業者や投資家は大きな利益を手にすることを目指します。
  • ベンチャー企業:多様なゴール設定
    ベンチャー企業のイグジットは、スタートアップに比べて多様です。もちろんIPOやM&Aも選択肢に含まれますが、それだけがゴールではありません。特定の市場でトップシェアを維持する、安定した収益を上げ続ける、事業承継によって会社を存続させるなど、長期的な視点での事業継続も重要な選択肢となります。

【スタートアップとベンチャー企業の違い まとめ表】

比較軸スタートアップベンチャー企業
ビジネスモデル革新的・破壊的(0→1)既存事業の延長・改善(1→10)
イノベーション新しい市場・価値の創造既存市場での競争優位性確保
成長戦略短期的な急成長(Jカーブ)中長期的な安定成長(右肩上がり)
出口戦略(イグジット)IPO、M&Aが主IPO、M&Aに加え、事業継続など多様
リスクハイリスク・ハイリターンミドルリスク・ミドルリターン
キーワード破壊的、指数関数的、PMF新規事業、差別化、黒字化

新しい挑戦を始める拠点なら fabbit

スタートアップ、あるいはベンチャー企業。あなたがどちらの道を選び、どのような挑戦を始めるにせよ、その第一歩を踏み出すためには、事業に集中し、共に成長する仲間と出会える環境が不可欠です。

fabbitは、あなたの事業フェーズや働き方のスタイルに合わせて、最適なオフィス環境を提供します。

革新的なアイデアを練る、少数精鋭のチームに

まだプロダクトがない段階や、リモート中心のチームでも、法人登記や郵便物の受け取りが可能な住所は必須です。コストを最小限に抑えながら、ビジネスに必要な信頼性を確保しましょう。

バーチャルオフィスで最初の拠点を構える

コストを抑えつつ、多様な才能と繋がりたいあなたに

固定費は抑えたい、でも自宅での作業には限界がある。そんな方には、他の起業家やフリーランスとの交流が生まれ、新たなビジネスチャンスが広がるオープンスペースが最適です。

コワーキングスペースでコミュニティの力を活用する

事業の成長と共に、チームを拡大したいあなたに

プロダクトが軌道に乗り、いよいよチームを拡大するフェーズへ。プライバシーが守られた空間で、事業の成長に合わせて柔軟に拡張できる個室オフィスが、あなたのビジネスを次のステージへと加速させます。

レンタルオフィスで事業拡大に備える

まとめ

スタートアップとベンチャーに優劣はなく、事業戦略の違いと捉えるのが適切です。この記事が、あなたの進むべき道を見極める一助となれば幸いです。fabbitは、多様なサービスであなたの挑戦を支援します。

参照・引用元一覧

  1. スタートアップ政策について – 経済産業省 – https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/innovation/pdf/006_05_00.pdf