オフィス縮小を成功に導く基本手順|コスト削減と新しい働き方を実現するポイント

リモートワークの普及で「オフィスの役割」を見直す企業が増えています。固定費削減は魅力的ですが、安易な縮小は従業員の不満や生産性低下を招くことも。この記事では、オフィス縮小を成功に導くための全手順を、具体的な選択肢や注意点と共に解説します。貴社の未来にとって、より良いオフィス戦略を見つける一助となれば幸いです。
この記事で分かること
- オフィス縮小がもたらす「3つのメリット」と見落としがちな「リスク」
- 自社の状況に合わせて選べる「4つの具体的な縮小パターン」と費用感
- プロジェクトで失敗しないための「5つの必須チェックリスト」
Contents
なぜ今、オフィス縮小が注目されるのか?3つのメリットと注意点

リモートワークやハイブリッドワークが働き方の選択肢として定着しつつある今、多くの企業がオフィスのあり方について見直しを迫られています。国土交通省の「令和6年度 テレワーク人口実態調査」※1によると、雇用型テレワーカーの割合は24.6%と、もはやオフィスに全員が出社する時代ではありません。このような状況下で、オフィス縮小は単なるコスト削減策ではなく、企業の未来を形作る戦略的な一手として注目されているのです。
あなたも、「本当にこんなに広いオフィスが必要だろうか?」と感じたことはありませんか?まずは、オフィス縮小がもたらす具体的なメリットと、見過ごされがちな注意点について一緒に考えてみましょう。
メリット1:固定費の大幅な削減
オフィス縮小の直接的なメリットの一つは、固定費の削減です。企業経営の多くの場合、オフィスの賃料は人件費に次いで大きな割合を占めます。
例えば、都心部にあるオフィスをよりコンパクトな場所へ移転した場合、月々の賃料という大きな固定費を削減できる可能性があります。もちろん、面積が半分になれば賃料も単純に半分になるというわけではありません。しかし、仮に月額200万円の賃料を150万円に圧縮できれば、それだけで年間600万円のコスト削減となり、長期的に見れば経営へのインパクトは非常に大きいと言えるでしょう。
さらに、削減できるのは賃料だけではありません。面積が小さくなることで、水道光熱費や清掃費、インターネット回線の費用といった付随するランニングコストも圧縮できます。これらの削減効果を積み重ねることで、企業の財務体質は大きく改善されるでしょう。
メリット2:多様な働き方への対応と人材確保
オフィス縮小によって生まれた余剰コストは、従業員の働きやすさを向上させるための貴重な原資となります。
例えば、オフィス以外で働く社員を支えるITツールの導入やセキュリティ強化は、多様な働き方を実現するための基盤として不可欠です。他にも、出社時の快適性を高めるウォーターサーバーやカフェスペースの設置、あるいは育児・介護支援制度の拡充など、企業のフェーズや従業員のニーズに合わせた投資を行うことが、従業員の満足度向上に直結します。結果として、優秀な人材の離職を防ぎ、採用活動においても「働きやすい企業」として大きなアピールポイントになるでしょう。
「オフィスへの出社」という制約がなくなることで、採用できる人材の幅は、国内の遠隔地や海外へも広がる可能性があります。これは、多様な人材を獲得する良い機会と言えるでしょう。
メリット3:意思決定の迅速化と生産性向上
意外に思われるかもしれませんが、オフィスの物理的な制約をなくすことは、組織の意思決定を迅速化させる効果も期待できます。
従来の大きなオフィスでは、部署ごとに物理的に隔てられ、部門間のコミュニケーションが希薄になりがちでした。しかし、オフィスを縮小し、フリーアドレスやコミュニケーションスペースを導入することで、部署の垣根を越えた偶発的な出会いや会話が生まれやすくなります。
このようなインフォーマルなコミュニケーションは、新たなアイデアの創出や、部門横断的な課題解決を促進します。物理的な「壁」を取り払うことが、組織の「壁」を取り払うきっかけになるのです。
注意点:安易な縮小が招くリスク
もちろん、オフィス縮小は良いことばかりではありません。計画が不十分なまま進めてしまうと、かえって生産性を低下させたり、従業員のエンゲージメントを損なったりするリスクも孕んでいます。
最も懸念されるのが、コミュニケーションの質の低下です。リモートワークでは、雑談や何気ない相談といった、仕事の潤滑油となるコミュニケーションが不足しがちです。これにより、チームの一体感が失われたり、若手社員の育成が困難になったりするケースが報告されています。
また、「自分の居場所がなくなった」と感じる従業員が出てくる可能性も考慮しなければなりません。特に、長年オフィスでの勤務に慣れ親しんできた従業員にとっては、オフィス縮小が帰属意識の低下に繋がることもあります。
これらのリスクを回避するためには、オフィスを「単に仕事をする場所」から「従業員が集まり、協業し、企業文化を共有する場所」へと再定義し、その目的に沿った空間設計を行うことが重要です。
【4つのパターン別】オフィス縮小の具体的な進め方と費用

オフィス縮小と一言で言っても、その実現方法は一つではありません。企業の状況や目指す働き方によって、最適な選択肢は異なります。まずは代表的な4つのパターンを比較し、自社に合うのはどれか見てみましょう。
| パターン | 初期費用 | ランニングコスト | 柔軟性・拡張性 | こんな企業におすすめ |
| 1. 縮小移転 | 高 | 中 | 低 | ・独自のオフィス空間で企業文化を醸成したい・従業員数が安定している企業 |
| 2. サテライトオフィス | 中 | 中 | 中 | ・従業員の通勤負担を軽減したい・事業継続計画(BCP)を推進したい企業 |
| 3. レンタルオフィス | 低 | 中 | 高 | ・事業規模の変動に素早く対応したい・初期投資を抑えて迅速に移転したい企業 |
| 4. バーチャルオフィス | 低 | 低 | 高 | ・物理的な執務スペースが不要・コストを極限まで抑え、一等地の住所が欲しい企業 |
※1 サービスにより保証金などがかかる場合もありますが、内装工事や什器購入が不要なため、他のパターンに比べて極めて低コストで導入可能です。
※2 物理的なスペースの制約がないため、契約・解約の柔軟性は他のパターンに比べて非常に高くなります。
パターン1:面積を減らして移転(縮小移転)
これは最もオーソドックスな方法です。現在のオフィスよりも面積の小さい物件に移転することで、賃料を直接的に削減します。
- 進め方:
現状分析: 現在のオフィスの課題(スペースの余剰、レイアウトの非効率性など)を洗い出します。
要件定義: 必要な座席数、会議室の数、求める立地条件などを明確にします。
物件探しと契約: 不動産仲介会社に相談し、条件に合う物件を探し、契約します。
内装工事と移転作業: 新オフィスのレイアウト設計、内装工事、引越し作業を行います。 - メリット: 自社の文化や働き方に合わせて、完全にオリジナルのオフィス空間を設計できる点です。
- デメリット: 物件取得費用、内装工事費、原状回復費など、多額の初期コストと時間がかかる点が挙げられます。
- 費用目安: 規模や内装のグレードによりますが、数百万円から数千万円規模の費用が必要になるのが一般的です。
オフィス移転については以下の記事も参考にしてください。
関連記事:オフィス移転の進め方ガイド|基本を押さえる チェックリスト・費用・スケジュール
パターン2:サテライトオフィスの活用
本社機能は維持しつつ、郊外や地方に従業員が利用できる小規模なサテライトオフィスを設置する方法です。従業員の通勤負担を軽減し、職住近接を実現します。
- 進め方:
・ニーズ調査: 従業員の居住地データを分析し、サテライトオフィスの需要が高いエリアを特定します。
・拠点開設: 賃貸物件を契約するか、シェアオフィスやコワーキングスペースの法人契約を利用します。
・環境整備: 業務に必要な什器、ネットワーク環境、セキュリティ対策を整備します。 - メリット: 従業員の通勤ストレスを大幅に削減し、ワークライフバランスの向上に貢献します。また、BCP(事業継続計画)対策としても有効です。
- デメリット: 複数の拠点を管理する手間とコストが発生します。また、拠点間で情報格差やコミュニケーションの断絶が生まれないような工夫が必要です。
- 費用目安: 拠点の規模や契約形態によりますが、月額数万円から数十万円のランニングコストがかかります。
サテライトオフィスについては以下の記事も参考にしてください。
関連記事:サテライトオフィス導入の実践ガイド|メリット・デメリットと選び方のポイント
パターン3:レンタルオフィスへの移転
必要な広さの個室スペースを、月単位などの柔軟な契約期間で借りる方法です。机や椅子、インターネット環境などが予め整備されているため、迅速に移転を完了できます。
- 進め方:
・サービス比較: 立地、料金プラン、付帯サービス(会議室、法人登記など)を比較検討します。
・内覧と契約: 実際に施設を見学し、利用規約を確認した上で契約します。
・入居: PCなどの必要最低限の機材を持ち込むだけで、すぐに業務を開始できます。 - メリット: 初期費用を大幅に抑えられる点が最大の魅力です。内装工事や什器購入が不要で、事業規模の変動に合わせて柔軟にスペースを拡張・縮小できます。
- デメリット: 共用スペースが多いため、独自の企業文化を醸成しにくい側面があります。また、サービスによってはカスタマイズの自由度が低い場合があります。
- 費用目安: 初期費用は数万円〜数十万円、月額費用は1人あたり数万円からが相場です。
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パターン4:バーチャルオフィスの活用
物理的なオフィススペースは持たず、事業用の住所や電話番号だけを借りるサービスです。リモートワークが中心で、たまに会議室などを利用したい企業に適しています。
- 進め方:
・サービス比較: 住所のブランド力、法人登記の可否、郵便物転送サービス、会議室利用の料金などを比較します。
・契約: オンラインで申し込みが完結する場合が多いです。 - メリット: 低いコストで、一等地の住所を事業拠点として利用できます。これにより、企業の信頼性を高めることができます。
- デメリット: 物理的な作業スペースはないため、従業員が自宅などで執務環境を整える必要があります。また、業種によっては許認可が下りない場合があります。
- 費用目安: 額数千円のプランから1万円を超えるものまで幅があります。
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オフィス縮小で失敗しないための5つのチェックリスト

オフィス縮小は、単なる引越しではありません。企業の働き方、文化、そして経営そのものに大きな影響を与える一大プロジェクトです。ここでは、総務・経営企画担当者として特に押さえておきたい5つのチェックポイントを解説します。
目的の明確化:何のために縮小するのか?
「コスト削減」は重要な動機ですが、それだけを目的にすると、従業員のエンゲージメント低下といった副作用を招きかねません。「なぜオフィスを縮小するのか?」を突き詰め、「どのような働き方を実現したいのか」というポジティブなビジョンを全社で共有することが、プロジェクトの羅針盤となります。
- チェック項目:
- コスト削減以外の目的(例:ハイブリッドワークの推進、コラボレーションの活性化)は明確か?
- 経営層と従業員の間で、目的意識は共有されているか?
- 縮小後の理想のオフィス像(コンセプト)は描けているか?
従業員への丁寧な説明と合意形成
オフィスは従業員にとって、一日の大半を過ごす生活の場でもあります。一方的な決定は、不信感やモチベーションの低下に繋がります。プロジェクトの早い段階から情報を共有し、アンケートやワークショップを通じて従業員の意見を吸い上げ、計画に反映させることをおすすめします。
- チェック項目:
- 従業員への説明会や意見交換の場を設けているか?
- 新しい働き方に関する不安や疑問に答える体制は整っているか?
- 在宅勤務手当や通勤手当の見直しなど、制度面の変更についても周知しているか?
ITインフラの再整備:どこでも同じように働ける環境か?
オフィスを縮小し、ハイブリッドワークを推進する上で、生命線となるのがITインフラです。オフィスでも自宅でも、あるいはカフェでも、安全かつ快適に業務を遂行できる環境を構築しなければなりません。
- チェック項目:
- 全従業員にノートPCやスマートフォンは支給されているか?
- VPNやクラウドサービスへのアクセス環境は整備されているか?
- リモート環境でのセキュリティ対策(デバイス管理、認証強化など)は万全か?
- Web会議システムやビジネスチャットツールは円滑に利用できるか?
法務・労務関連の確認:見落としがちな手続きはないか?
オフィスの移転や働き方の変更には、様々な法的手続きが伴います。これらの手続きを怠ると、後々大きなトラブルに発展する可能性もあります。総務担当者は、専門家とも連携しながら、抜け漏れなく対応する必要があります。
- チェック項目:
- (移転の場合) 現オフィスの賃貸借契約書の解約予告期間を確認したか?
- (移転の場合) 法務局への本店移転登記、税務署、社会保険事務所などへの届出リストを作成したか?
- 労働条件の変更(勤務場所、通勤手当など)について、就業規則の改定や労働組合との協議は必要か?
パートナー業者の選定:誰とプロジェクトを進めるか?
オフィス縮小プロジェクトは、社内のリソースだけで完結させるのは困難です。不動産仲介、内装デザイン、ITインフラ構築、引越しなど、各分野のプロフェッショナルと協力して進めることが成功の鍵となります。
- チェック項目:
- 各分野で信頼できる実績を持つ業者をリストアップしたか?
- 複数の業者から相見積もりを取り、サービス内容とコストを比較検討したか?
- プロジェクト全体の進行管理を任せられるパートナーはいるか?
【課題解決】ハイブリッドワーク時代の新しいオフィスの選択肢

オフィスを縮小したからといって、「集まる場所」が不要になるわけではありません。むしろ、従業員が顔を合わせる機会が減るからこそ、偶発的なコミュニケーションや一体感の醸成を促す「場」の価値は、これまで以上に高まっています。これからのオフィスは、単に執務スペースを提供するだけでなく、企業の成長を促進する戦略的な拠点としての役割を担うべきです。
「集まる」をデザインするコワーキングスペースの活用
ハイブリッドワークにおける最大の課題の一つが、リモートワーカーとオフィスワーカーの間に生まれるコミュニケーション格差や一体感の希薄化です。この課題に対する有効な解決策が、コワーキングスペースの法人契約です。
必要な時に、必要な人数だけが集まれる柔軟なワークスペースを確保することで、以下のようなメリットが生まれます。
- チームビルディングの拠点: 全社会議や部署のキックオフなど、定期的に集まる機会を設けることで、チームの一体感を醸成できます。
- イノベーションの創出: 他の企業のワーカーと交流できるオープンな環境は、新たなアイデアやビジネスチャンスを生む土壌となります。
- 採用活動の場として: おしゃれで機能的なコワーキングスペースは、求職者に対して先進的で魅力的な企業イメージを与えることができます。
fabbitのコワーキングスペースは、洗練されたデザインと充実した設備で、様々な場面でご活用いただけるオープンスペースです。
オンデマンドで利用する貸会議室
「自社オフィスに大会議室は不要になったけれど、クライアントとの重要な商談や役員会議の場は確保したい」。そんなニーズに応えるのが、時間単位で利用できる貸会議室です。
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- 利用シーン:
- 役員会や株主総会
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まとめ
オフィス縮小は、コスト削減だけでなく、働き方を革新し企業成長を促す好機です。成功の鍵は、目的を明確にし、従業員と対話し、多様な選択肢から自社に合う形を見つけること。この記事が、貴社の未来を拓くオフィス戦略の第一歩となれば幸いです。次のステップとして、具体的な相談や内覧を検討してみてはいかがでしょうか。
参照・引用元一覧
- 令和6年度 テレワーク人口実態調査 – https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001878996.pdf – 国土交通省が発表した、日本のテレワーク実施状況に関する最新の公式統計データ。
