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後悔しないための賃貸オフィス探しの全7ステップ

事業が成長し、新たなステージへ進むとき、多くの経営者が「オフィス」という選択肢を考え始めるのではないでしょうか。しかし、いざ探そうとすると「何から手をつければ?」「費用はどれくらい?」と、分からないことだらけで不安になりますよね。この記事では、オフィス探しの進め方を全7ステップで分かりやすく解説します。

この記事で分かること

  • オフィス探しを「何から始めるか」が分かる全7ステップの具体的な手順
  • 賃貸だけじゃない!スタートアップに適したレンタルオフィスなど、自社に合う選択肢
  • 見落としがちな初期費用を含め、どれくらいお金がかかるかというリアルな予算感
  • 内覧や契約で失敗しないために、プロが実践している必須チェックポイント

【STEP1】なぜオフィスが必要?目的と条件を整理しよう

オフィス探しは、「なぜ自社にオフィスが必要なのか?」という根本的な問いから始まります。この目的が曖昧なままだと、物件選びの軸がぶれてしまい、結果的に「こんなはずじゃなかった」という失敗に繋がってしまいます。

オフィスの目的を明確にする

例えば、あなたの会社の目的は次のうちどれに近いでしょうか?

  • 従業員の増加に対応するため: 自宅やカフェでは手狭になった。
  • チームの一体感を醸成するため: リモートワーク中心から、対面のコミュニケーションを増やしたい。
  • 企業の信頼性を高めるため: 法人登記や打ち合わせ場所として、しっかりした住所が欲しい。
  • 採用活動を有利に進めるため: 魅力的なオフィスで、優秀な人材にアピールしたい。

目的が明確になれば、おのずとオフィスに求める条件の優先順位が見えてきます。

譲れない条件を洗い出す

目的がはっきりしたら、次は具体的な条件を整理しましょう。以下のチェックリストを参考に、あなたの会社にとっての「譲れない条件」と「できれば満たしたい条件」を書き出してみてください。

【オフィス条件整理チェックリスト】

  • エリア:
    • 主要な取引先へのアクセスは良いか?
    • 従業員が通勤しやすい沿線か?
    • 周辺に銀行や郵便局、飲食店は充実しているか?
  • 広さ:
    • 従業員1人あたりに必要な面積は?(一般的に2〜3坪が目安とされます)
  • 予算:
    • 月々の賃料にいくらまで払えるか?
    • 初期費用は総額でどのくらいを想定しているか?
  • 設備:
    • 会議室やリフレッシュスペースは必要か?
    • インターネット環境(光回線など)は?
    • 個別空調は必要か?
    • セキュリティレベルはどの程度求めるか?
  • その他:
    • ビルの外観やエントランスの雰囲気は企業イメージに合うか?
    • 法人登記は可能か?

この段階で、すべての条件を厳密に決める必要はありません。「都心の一等地がいいけど、予算を考えると少し郊外でも…」といったように、理想と現実のバランスを取りながら、条件に幅を持たせておくのがコツです。

【STEP2】オフィスの種類を知る|選択肢は賃貸だけじゃない!

「オフィスを借りる」と聞くと、多くの人が一般的な賃貸オフィスを想像するかもしれません。しかし、特にスタートアップや少人数のチームにとっては、もっと柔軟でコスト効率の良い選択肢が存在します。まずは全体像を掴むために、それぞれの特徴を比較してみましょう。

一目で分かる!4つのオフィス形態メリット・デメリット比較表

項目A: 賃貸オフィスB: レンタルオフィスC: コワーキングスペースD: バーチャルオフィス
初期費用◎ 高額(賃料6~12ヶ月分+工事費等)◯ 低め(賃料1~3ヶ月分程度)◎ ほぼ不要(入会金程度)◎ ほぼ不要
月額費用◯ 中~高額◯ 比較的高め◎ 安い◎ 非常に安い
契約期間△ 長期(2年~が一般的)◎ 短期(最短1ヶ月~)◎ 短期(最短1ヶ月~)◎ 短期(最短1ヶ月~)
入居スピード△ 遅い(数ヶ月単位)◎ 速い(最短即日~)◎ 速い(最短即日~)◎ 速い(最短即日~)
カスタマイズ性◎ 高い△ 低い(原則不可)△ 不可× なし
法人登記◎ 可能◎ 可能△ プランによる◎ 可能
おすすめの企業資金力があり、長期的な拠点を構えたい企業スタートアップ、プロジェクトチーム、支社フリーランス、起業準備段階、交流を求める企業リモートワーク中心で住所のみ必要な企業

一般的な賃貸オフィス

メリット:

  • 内装やレイアウトの自由度が高い。
  • 長期的に利用する場合、トータルコストが割安になる可能性がある。
  • 自社専用の空間として、独自の企業文化を醸成しやすい。 

デメリット:

  • 保証金や内装工事費など、高額な初期費用がかかる。
  • 契約から入居までに数ヶ月単位の時間がかかる。
  • 原状回復義務があるため、退去時にも費用が発生する。

レンタルオフィス

机や椅子、インターネット環境などが予め用意されており、契約後すぐに事業を開始できるオフィス形態です。 

メリット:

  • コスト削減: 保証金が少額で良い場合が多く、内装工事や什器購入の必要がないため、初期費用を大幅に抑えられる。
  • スピード: 契約後、最短で即日から利用開始できることもあります。
  • 柔軟性: 1名用から数十名用まで様々な広さがあり、企業の成長に合わせて柔軟に拡張・移転が可能。 

デメリット:

  • 内装のカスタマイズは難しい場合が多い。
  • 共用スペースの利用ルールなど、一定の制約がある。

スタートアップやプロジェクト単位での利用、地方のサテライトオフィスなど、初期投資を抑えてスピーディーにビジネスを始めたい企業に適した選択肢と言えるでしょう。

コワーキングスペース

様々な企業や個人が同じ空間を共有して仕事をする場所です。フリーアドレス席が中心ですが、個室プランを提供している施設もあります。 

メリット:

  • コミュニティ: 他の利用者との交流が生まれやすく、新たなビジネスチャンスに繋がることがある。
  • 低コスト: 月額数万円から利用でき、コストを最小限に抑えられる。

デメリット:

  • セキュリティ面での注意が必要。
  • 周囲の音が気になる場合がある。

バーチャルオフィス

物理的なワークスペースは持たず、法人登記や郵便物受け取りのために「住所」だけを借りるサービスです。 

メリット:

  • 圧倒的な低コスト: 月額数千円~数万円から一等地の住所を持つことができる。
  • ビジネス用の住所として活用可能: 法人登記やWebサイト、名刺に信頼性の高い一等地の住所を記載できます。これにより、リモートワーク中心の事業形態でも、取引先や顧客からの信頼を得やすくなる。

デメリット:

  • 実際に作業するスペースはない。
  • 許認可によっては、バーチャルオフィスでは取得できないものがある。

【STEP3】予算を立てる|初期費用とランニングコストの全体像

オフィスを借りる際、最も気になるのが「費用」ではないでしょうか。特に見落としがちなのが、月々の賃料以外にかかる「初期費用」です。ここでは、費用の全体像を掴み、無理のない予算計画を立てる方法を解説します。

初期費用の内訳

一般的な賃貸オフィスの場合、初期費用は賃料の6ヶ月〜12ヶ月分が目安と言われています。

  • 保証金(敷金): 賃料の6〜12ヶ月分が相場。退去時に原状回復費用などを差し引いて返還される。
  • 礼金: 賃料の1〜2ヶ月分。貸主への謝礼金で、返還されない。
  • 仲介手数料: 賃料の1ヶ月分+消費税。不動産会社に支払う手数料。
  • 前払賃料: 入居する月の賃料(日割+翌月分)。
  • 火災保険料: 必須で加入。
  • 内装・設備工事費: レイアウト変更や電源増設など。
  • 什器・OA機器購入費: デスク、椅子、PC、複合機など。

【シミュレーション例】 賃料30万円のオフィスを借りる場合

  • 保証金(10ヶ月分): 300万円
  • 礼金(1ヶ月分): 30万円
  • 仲介手数料(1ヶ月分): 33万円
  • 前払賃料(1ヶ月分): 30万円
  • 合計: 393万円 + 内装工事費・什器購入費

このように、かなりのまとまった資金が必要になることが分かります。一方で、レンタルオフィスの場合は、これらの費用の多くが不要または低額なため、初期投資を大幅に圧縮できます。

ランニングコストの内訳

毎月発生する費用も忘れてはいけません。

  • 賃料・共益費: 毎月固定でかかる費用。
  • 水道光熱費: 電気、水道、ガス代。
  • 通信費: インターネット回線、電話代。
  • その他: 複合機のリース代、清掃費など。

予算を立てる際は、これらのランニングコストも考慮し、会社のキャッシュフローを圧迫しないか慎重に検討することが重要です。

【STEP4】物件の探し方|代表的な2つのルート

条件と予算が固まったら、いよいよ具体的な物件探しです。探し方には大きく分けて2つのルートがあります。

4-1. 不動産ポータルサイトで探す

事業用不動産のポータルサイトを利用する方法です。 

メリット:

  • 自分のペースで、エリアや賃料などの条件で絞り込みながら探せる。
  • 多くの物件を比較検討できる。 

デメリット:

  • 非公開の優良物件は掲載されていないことが多い。
  • 情報が多すぎて、かえって選べなくなることがある。

事業用不動産の仲介会社に相談する

オフィス専門の不動産仲介会社に依頼する方法です。 

メリット:

  • ネットにはない非公開物件を紹介してもらえる可能性がある。
  • エリアの相場観や物件の専門的なアドバイスをもらえる。
  • 内覧の日程調整や条件交渉などを代行してもらえる。 

デメリット:

  • 担当者との相性が合わない場合がある。
  • 仲介手数料がかかる。

初めてオフィスを借りる場合は、まずポータルサイトで相場観を掴み、その上で信頼できそうな仲介会社に相談してみる、という合わせ技がおすすめです。

【STEP5】内覧時に確認すべきチェックポイント20項目

気になる物件が見つかったら、必ず内覧に行きましょう。図面だけでは分からない重要なポイントがたくさんあります。内覧は、あなたの会社がその場所で快適に、そして生産的に働けるかを判断する大切な機会です。

室内(専有部分)のチェックポイント

  1. レイアウトのしやすさ: 柱の位置や形は、デスク配置の邪魔にならないか?
  2. 天井高: 開放感はあるか?低すぎると圧迫感をもちやすい。
  3. 床の仕様: OAフロア(床下に配線を通せる仕様)になっているか?
  4. コンセントの位置と数: デスクの配置に対して十分な数があるか?
  5. 空調: 個別空調か、ビル一括管理か?温度調整の自由度は?
  6. 窓からの眺望・日当たり: 自然光は入るか?外からの視線は気にならないか?
  7. 携帯電話の電波状況: 主要キャリアの電波は問題なく入るか?

共用部分のチェックポイント

  1. エントランス: 企業の「顔」としてふさわしい雰囲気か?
  2. エレベーター: 台数と待ち時間はストレスにならないか?
  3. トイレ: 清潔に保たれているか?男女別の数は十分か?
  4. 給湯室: 使いやすいか、清潔か?
  5. 喫煙スペース: あるか、ないか?ビル内か、屋外か?

ビル・周辺環境のチェックポイント

  1. ビルの管理体制: 清掃は行き届いているか?管理人は常駐しているか?
  2. セキュリティ: 夜間や休日の入館方法は?
  3. 駐車場・駐輪場: 必要台数は確保できるか?
  4. 耐震基準: 新耐震基準(1981年6月以降)を満たしているか?
  5. 最寄り駅からのアクセス: 実際に歩いてみて、表示時間との差はないか?坂道や信号は?
  6. 周辺のランチ環境: 飲食店やコンビニは充実しているか?
  7. 銀行・郵便局: 近くにあると何かと便利。
  8. 騒音・匂い: 周辺に工場や飲食店など、騒音や匂いの元になる施設はないか?

【STEP6】申し込みから契約までの流れと注意点

「この物件だ!」と決めたら、入居申込書を提出し、審査に進みます。審査が無事通れば、いよいよ契約です。ここでは、契約時に特に注意すべき「契約形態」について解説します。

入居申し込みと審査

一般的に、会社の登記簿謄本や事業計画書、決算書などの提出が求められます。特にスタートアップの場合は、代表者の連帯保証が必要になるケースがほとんどです。

「普通借家契約」と「定期借家契約」の違い

事業用賃貸借契約には、主に2つの種類があります。※1これは契約の根幹に関わる重要な違いのため、正しく理解しておきましょう。

  • 普通借家契約: 契約期間の定めはあるものの、借主が希望する限り、原則として契約を更新できる契約です。貸主からの正当な事由がない限り、一方的に退去を求められることはありません。多くの物件がこの形態です。
  • 定期借家契約: 契約期間が満了すると、更新されることなく契約が終了する契約です。引き続き入居したい場合は、貸主と「再契約」の合意が必要になります。再契約できる保証はありません。

なぜこの違いが重要なのか? もし「定期借家契約」の物件に多額の内装費をかけても、数年後に再契約できなければ、その投資が無駄になってしまうリスクがあるからです。一方で、定期借家契約は普通借家契約に比べて賃料が割安な傾向にあるというメリットもあります。契約する際は、どちらの形態なのかを必ず確認し、自社の事業計画と照らし合わせて判断しましょう。

【STEP7】オフィス開設後の手続き

契約が完了しても、まだやることは残っています。スムーズに業務を開始できるよう、入居後に必要な手続きもリストアップしておきましょう。

  • インフラの契約・手配: 電気、水道、ガス、インターネット回線、電話回線など。
  • 各種届出:
    • 法務局への本店移転登記(移転後2週間以内)。
    • 税務署、都道府県税事務所、市町村役場への異動届。
    • 社会保険事務所、労働基準監督署、ハローワークへの届出。
  • その他:
    • 移転案内の送付(取引先、顧客など)。
    • 名刺やWebサイトの住所変更。

これらの手続きは煩雑で時間がかかるため、チェックリストを作成し、計画的に進めることをお勧めします。

まとめ

オフィス探しは、時間も労力もかかる大きなプロジェクトです。しかし、自社の成長フェーズや目的に合った最適な場所を見つけることは、事業を加速させる強力なエンジンとなります。まずは気軽に相談できるfabbitで、あなたのビジネスに合ったオフィスの形を探してみませんか?

参照・引用元一覧

  1. 事業用定期借家契約とは?普通借家契約との違いやメリット・… https://vs-group.jp/lawyer/tachinoki/realestaterental/jigyoyoteiki/ – 普通借家契約と定期借家契約という専門的な内容を正確に解説するために参照。